第21回 やっとVISTA|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

第21回 やっとVISTA

 5年使っていたXPマシンがこわれた。パソコンも5年使えば寿命ということだろう。だいたい今までパソコンは3~4年で更新していたわけで5年は異例に長い。もちろんこんなに長く使ったのは、買い換えるとVISTAにせざるをえなくなるので敬遠していたからだ。XPは安定したOSで21世紀初頭をかけぬけてくれた。これを換えたくなかったのだ。


 XPを修理して使うことも選択肢にはあるが、次から次へと故障箇所がでてくるのは目に見えている。VISTAを買ってXPへアップグレードならぬダウングレードという奇手もあるが、世の流れ(というよりマイクロソフトの戦略)には逆らえない。これも潮時だと、VISTAへの転換を決意した。


 コンピュータ関係部署に相談すると、CPUがコア2デュオ、メモリは4ギガというスペックの安売りパソコンを手に入れてくれた。前のXPのメモリは512メガだったから、ついにメモリがギガを突破である。ギガバイトなんてついこの前まではハードディスクの単位だったのに、いつのまにかメモリの単位になってしまった。これでも値段は10万円程度でしかない。印刷の敵がコンピュータだということを考えると、10万円でこのスペックのものが手に入るというのを喜んでいいのか悲しんで良いのか。


 さてセッテイングしてみると、なるほどこのスペックだと快適である。今まで、ノートパソコンなどでVISTAをつかって来たが、正直使いやすいとはいえなかった。XPより動作が鈍く感じてしまうのだ。今回、そのかなりの原因がCPUのパワー不足とメモリの容量不足ということがよくわかった。VISTAはマシンスペックさえ整えてやれば非常に快適だ。


 残念ながら、セキュリティがやたら煩雑なのはあいかわらずである。煩わしいが、こちらはセキュリティに気を配ってくれているのだから我慢しよう。問題なのはアプリケーションソフトの対応である。


 XPで動いても、VISTAでは動かないソフトがあるというのは聞いていたが、とにかく動かないのが多すぎる。DTP関係、画像処理関係はほぼ全滅、フリーのツール類もまずだめ。一番困ったのは、ビジュアルベーシックなどの開発言語が動かないことだった。これでは一からプログラムを書きなおすしかない。致命的なのは、京都ローカルの話題で恐縮だが市役所の電子入札ソフトが動かないことだ。


 しかもインストールしてみるまで、動くか動かないかがわからない。最近のソフトならば「VISTA対応」とか書いてくれているが、すこし前のソフトはパッケージをみても、「VISTA対応」するともしないとも書いてない。VISTAより前に売り出されているわけだから当たり前なのだが、苦労してインストールしたあげく、動かなかったり動作がおかしいときは真底消耗する。意外にもオフィス系のソフトやワープロソフトはさすがマイクロソフトというべきかXP以前のソフトでも忠実に駆動する。


 重要なソフトから入れ替えはじめ、まともに動かなかったら代替のソフトを買ったり、VISTA対応のバージョンにアップグレードしたりと一々手間がかかる。すべてを入れ替えて、これでほぼ移行できたなと思えるまで2週間。完全に支障がなくなるまで、1ヶ月である。これではVISTA移行がすすまないはずだと思った。XPからVISTAのようなOSのアップグレードはいたしかたないとしても、すくなくともアプリケーションソフトはXPのような以前のバージョンでも動いていたら、無前提でVISTAのような新しいOSで使えるようにはしてもらいたいものだ。件の市役所の電子入札は古い共用XPマシンに移し替えざるをえなかった。入札のたびに共用パソコンに移動するのはあまりに面倒である。


 まあ、ここまで苦労しても、VISTAならではの便利さというのはなかなか実感できないのが情けない。VISTAの後継というWINMDOWS7を待った方がよいかもしれないな。



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