第9回 ホームページをつくったぞ|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

第9回 ホームページをつくったぞ

 今回もインターネットから始まる。前回も書いたように、インターネットは全世界をおおいつくすコンピュータネットワークである。文字、画像など、ありとあらゆる情報を世界中から探し出して、自分のコンピュータに受けることができる。逆に言うと、情報を世界に向けて発信することもできる。我々日本人には感覚的に理解しにくいことだが、情報公開の進んでいるアメリカでは、NASAなどの公的機関が、積極的にインターネットに向けて情報を公開している。納税者へ積極的に情報公開をしないと予算がつかないのである。日本でも首相官邸から、インターネットへの発信が行われているのは先回紹介した。この流れが、今、公的機関から、企業、個人レベルへとひろまりだした。日本でも会社案内や求人広告をインターネットで行うというのは、コンピュータ関係の企業では珍しいことではないし、慶応大学の湘南学舎では学生がそれぞれ自分の情報を公開している。


 従って京都の中小印刷屋がインターネットへの情報発信をやっていけない理由はなにもない。しかし、実際に情報を発信するとなると巨大なコンピュータシステムと専門知識が必要となってくる。とても中小企業には無理だとあきらめかけていたが、時代はインターネットに向いて一直線だ。今、21世紀の基幹産業になるものとしてお役所が実に熱心なのである。京都でも府が出資している京都産業情報センターというところが、インターネットのサーバをたちあげるというので、それに参加しないかという打診があった。これだと、非常に安い値段で情報発信ができてしまう。お役所はこういう時にこそ、利用しなければならない。


 発信する内容は、会社案内。サーバ立ち上げまで時間がなく、拙速な話だが、印刷してあるいわゆる「会社案内」をほとんどそのまま電子情報化する。インターネット(正確にはwww)に通すのには、HTMLという言語を使ってテキストを作成する必要がある。このHTMLという言語、今、国際共通組版言語として注目を浴びつつあるSGMLと非常に似ている。似ているというより、HTMLはSGMLの一種と言ってもいいものらしい。インターネット用共通組版言語などというから、どんなに難しいものかと思っていたが、案ずるより生むが易し、実に簡単。組版といっても、電算写植のように、組体裁をそのまま指定するのではなく、文書構造を記述していくもので、一種のメタ組版である。


 さて、文章は会社案内のものをそのまま流用できるが、問題は、画像である。文章だけのものなら、今までのパソコン通信とさしてかわらない。画像を流せればこそこれだけ話題になっているのである。なんとかいいものにしたい。コンピュータネットワークに載せるのだから、もちろんデジタル画像でなければならない。しかも、現在のところ、GIFという形式に限られる。DTPでよく使われるTIFFやBMPでは現在のところインターネットには載らない。


 正直言って、私は最近現場の経験はあまりない。そこで、若い女性ばかりのDTPチームにGIF画像の作成と、付随するコンピュータグラフィックスの作成を依頼した。彼女たちは燃えた。こういう未来に拓かれた仕事というのは、若い人の方がなじみやすい。3日で、もっともらしい画像がGIFで作成されてきた。扱いなれたTIFF画像をGIFに変換するのに苦労したようだが、あとは普段からDTPでデジタル画像に慣れ親しんでいる彼女らにしてみれば、そんなに苦労でもないらしい。これが、デジタル統合なのだと思った。印刷の一方法としてのDTPは、知らず知らずのうちにデジタルデータの取り扱いを社内に根付かせていたのだ。そしてこれはそのまま未来のネットワーク社会に直結している。


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