今年は2005年。日本のインターネット元年が1995年だったというのは定説だから、10年たったことになる。もちろん、インターネット自体はもっと以前からあったわけだが、ホームページというコンテンツをえて一気に一般化したのが1995年だった。そういえば当時はゴーファーとか、ニュースグループとかいうコンテンツもあったな。今でもあるのかもしれないが、はっきり言って、今やインターネットとはホームページと同義としてしまってもいいぐらい、ホームページ(ワールドワイドウェブ)が全盛である。
ホームページは結局、あらゆるコンテンツをのみこんでしまった。今やホームページ用ブラウザの上で買い物やオークションから、データベース検索、掲示板上での意見表明までなんでもホームページ上でできてしまう。逆に言うと、ホームページが進化して、その他のコンテンツをすべて飲み込んでしまったというべぎたろう。
さて、プログである。ブログがジャーナリズムそのものになる日も近いというような言い方までされ、今、この世界の注目株ではある。IT印刷屋の若旦那としては、これは捨て置くわけにはいかない。遅ればせながら、私もプログを作ってみたのだった。これは確かにおもしろい。あらたなインターネットの使い方がまた登場したと言うべきだろう。
実はプログは2年ぐらい前に、アメリカで話題になりはじめたころ、こころみたこともあったのだが、そのときはホームページ上にブログがあることの必然性がわからなかった。よくあるホームページ作成ソフトの一種にすぎないと思えた。そうなのだ。プログはホームページの使用法のバリエーションではない。単なる作り方の一方法、もしくはブログ作成ツールを作って作られたホームページのことでしかない。10年前からホームページを作り続けた私にしてみれば、単にホームページの作り方があらたに増えたって興味はわかなかったのだ。
では、プログがなぜこんなに流行し、もてはやされるのか。表現としてはごくふつうのホームページにすぎないのだったら、わざわざブログというような名前を奉ってまで、新しいコンテンツとする必然性がないではないか。実はこの疑問にこそブログを理解する本質があるように思える。
ブログは「簡単に」ホームページを作れる道具、もしくは、その道具を作って制作されたホームページのことである。この「簡単に」が今までのホームページと本質的に違うということなのだ。出来合いでお仕着せではあるが、そこそこかっこいいホームページを作れる。ホームページをつくりたいが、かっこいいのが作れなければ恥ずかしいとか、コンピュータの知識はないが、ホームページで意見表明したいという層を取り込んだわけだ。また、私のようにホームページを作ってきた人間にとっても、ブラウザ操作だけでホームページ更新ができるのは魅力だ。えっ、ホームページってこんなに簡単だったのと思わせる。更新が楽なだけに、どんどん書き込みたくもなる。
ブログの登場で、情報発信の垣根が徹底的に低くなった。この情報発信の垣根は一度ホームページの掲示板で低くなってはいたのだが、掲示板では発言の匿名性故にあまりに発信情報が低俗になりすぎた。結局、ブログはホームページ情報発信機能を掲示板なみの手軽さで実現したものといえるだろう。
それで私の作ったブログだけれど、またもやオンラインジャーナルについてのプログである。印刷屋の若旦那が、オンラインジャーナルについてのプログを書くってことになると、今月のコラムには紙の上での印刷の話がどこにもでてこないじゃないの。