第85回 新IT経営者増殖中|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

第85回 新IT経営者増殖中

 ついにこの連載も8年目に突入。連載をはじめたころはまさかここまで続くとは思っていなかったけれど、それだけコンピュータにまつわる喜怒哀楽を全国で共感していただいているというわけだろうか。ところで、私も、もうそろそろ若旦那と言うのも気恥ずかしい年齢になってきて、いつこのタイトルをかえるべきかとも思案していたのだけれど、旦那(社長)に昇格するまでは若旦那でいくことにした。まあ、しばらくは若旦那におつきあいのほどお願いします。


 業界の若旦那仲間の方は、徐々に旦那(社長)への名称変更進行中ではある。それぞれ10数年前の電算写植の時代から、コンピュータへの夢を語り合ってきた仲間だから、当然、みなさん、相当にコンピュータには詳しいわけで、「印刷屋の大将はコンピュータを知らん」なんて、もう誰にも言わせない。


 私たちの世代というのは、大学の時にパソコンに触れた最初の世代で、その後、コンピュータとともに社会人生活を送ってきた。ビルゲイツや西和彦、孫正義なんていうパソコン世界での有名人と同じ世代でもある。この世代はコンピュータに関しては常に露払い的な役割をしてきたような気がする。これは印刷業界に限った話ではないようで、同窓会で高校時代の友人に会うと、そういう役回りをやっている奴の多いことに驚く。医者になった奴が、医療情報システムに関する研究会の代表であったり、法律家になった奴が、同じく判例データベースの構築の責任者をやっていたりする。


 あえて、言わせてもらえれば、私たちの世代は、コンピュータを前提として育った若い世代と、コンピュータのない時代に育った世代の丁度境目であり、橋渡しの世代だということだ。その我々が45歳を迎えた。まさに中堅である。ただ、経営者としては若い世代であることは認めざるを得ない。IT経営者は増殖中であるといっても、まだまだ少数派で、印刷業界で主流になるまでには今少し時間がかかるかと思っていたら、ここに来て、強い味方が増えてきていることに気がついた。


 われわれよりさらに早くITをたたき込まれた元印刷機材メーカーや情報機器メーカーの面々が、次々と印刷業界に転身してきているようなのだ。まさに電算システムの開発現場を担っていたような40代以下の人々も多い。元々、コンピュータを売ることから職業人人生を歩みだした彼らは、私のように独学で失敗を繰り返しながらコンピュータを学んだ人間よりはるかに綿密に体系的にITを取得している。彼らが、印刷業界に引き抜かれたり、転職したりして、こちらの側の人間になっている。メーカーが最近、不景気ということもあって、転身は加速しているようだ。そしてそのうちの何人かは経営者になりつつある。前世代の経営者がIT時代の印刷に自ら降参して、経営をかれらに譲っているのだ。IT経営者の大増殖である。この新IT経営者は、出自が出自だけに、コンピュータには詳しいというよりプロだ。そして、過去の印刷業のビジネスモデルと言うことに全く煩わされないだけに大胆でもある。


 そして、この新IT経営者の一群に加えて、わたしたちより一回り年下、30歳前後の、はじめっからコンピュータを前提とした印刷業しか知らない若々旦那世代も、印刷業経営者へ大量進出中である。ふと見回すと、まわりはIT経営者だらけなのだ。IT好きの私のまわりがそういう経営者ばかりなのは、私だけの特殊事情でもあるので、一般化はできないかも知れないけれど、そう思いません?



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