第86回 コンピュータウィルス蔓延中|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

第86回 コンピュータウィルス蔓延中

 朝、出社してデスクについたあと、電子メイルをチェックする。これが習慣になって、10年ぐらいになるだろうか。電子メイルは、電話のように自分の時間を邪魔されることもないし、文書のかたちで仕事に関するやりとりが残るので、ビジネスのツールとしては理想に近い。しかし、最近、やっかいなことになってきた。


 この2・3年、悩まされ続けたのはジャンクメイルだ。たいてい宣伝である。ダイレクトメイルならぬ、ダイレクトEメイルだ。毎日毎日、10通から20通の宣伝メイルがはいってくる。これを片っ端からゴミ箱にほりこむのが、朝一番の仕事なのだから情けない。コンピュータ時代にふさわしく、自動消去でもできそうなものだが、ダイレクトEメイルは自動では消去できない。ジャンクメイルもタイトルだけは、さも重要な電子メイルを思わせるようなものになっているから、一応、あけてみないとそれが、ジャンクメイルなのか重要な個人メイルなのかわからないのだ。


 しかも、ここに来て、電子メイルを通じて感染するコンピュータウィルスが大流行である。メイルを通じて感染するウィルス(正しくはワーム)は今までもなかったわけではないが、今回(2001年秋から2002年冬)のウィルスはめちゃくちゃに強力だ。被害もけた外れに大きい。今まで、ウィルスは添付ファイルを実行しない限り、感染することはないと言われていたが、今回のウィルスはプレビューするだけで感染するという恐ろしい物だ。 そしていったん特定のコンピュータにとりついたウィルスは、コンピュータ内に保存された電子メイルアドレスの宛先に、自分を複製して自動的に送りつけるという行動を開始する。最近の悩みの種はこれだ。


 毎日毎日、あらゆるところから、ウィルス付きの電子メイルがやってくる。そのたびに、消去するのだが、ウィルスメイルは、ジャンクメイルと同じで、いかにも重要なファイルのようなふりをしているから、まずはウィルスかどうか判別しなければならない。判別自体は大した手間ではないが、これだけ来るといささかうんざりする。そして、私のところにウィルス付きの電子メイルが次々来るということは、私の友人、知人、取引先など、私のメイルアドレスが保存されているコンピュータが片端から感染しているということなのだ。いったん、自分のコンピュータがウィルスに感染してしまうと、知らず知らずに、お友達や得意先にまでコンピュータウィルスをばらまくことになってしまうわけで、このウィルスメイル判別と消去作業は欠かせない。


 そうしたウィルスつきの電子メイルが、グループ内同報通信のメイリングリスト向けに発信されたりしたら悲惨だ。メイリングリストの中で、さらに電子メイルが自己増殖し、コンピュータウィルス(つきの電子メイル)同士が、メイリングリストの中で合わせ鏡のように増えて、あふれ出してしまう。


 もちろん、当社の名誉の為にも書いておくが、当社ではウィルス対策は万全にとっている。印刷屋からウィルスを蔓延させたりしたら、それこそ信用問題だからだ。当社ウィルス対策の網には以前から、クライアントから入稿してきたフロッピーが、ひっかかることがあった。クライアントのコンピュータがウィルスにやられているのである。当社から通知して、クライアントのウィルス退治に協力したこともある。だから、電子メイルウィルスでも、今のところ、水際で阻止できている。


 朝、一番、大量のメイルがきていても、整理してみるとジャンクメイルとウィルスばっかりだったりしたら、本当に泣きたくなる。このままでは、重要なメイルまでみのがしてしまいそうだ。これはもうなんとかしないと、電子メイル社会は崩壊するぞ。



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