第8回 あなたもインターネットへ|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

第8回 あなたもインターネットへ

 インターネットという言葉が、昨年あたりから急にマスコミを賑わすようになった。インターネットの登場で産業が大変革をとげるとか、123兆円市場の登場とか言われて、目にされた方も多いだろう。インターネットとは平たく言ってしまえば、超巨大コンピュータネットワークである。コンピュータとコンピュータが、電話回線や専用線を通じて世界中で結びついている。すでに、全世界の3000万のコンピュータが接続されたという。私が今、原稿を書いているこのパソコンもインターネットにつながっているが、ここから、京大や東大のコンピュータにはいって、公開されているプログラムをもらってきたり、アメリカのNASAのコンピュータにはいって、スペースシャトルの運行状況を調べたりもできる。最近では、wwwというシステムで、画像や音声いりのデータがいとも簡単にやりとりできるようになった。たとえば、首相官邸にはいれば、まず、首相官邸と村山首相の写真画像が送られてくる。それから、おもむろに、施政方針演説の内容や閣議決定の内容を検索することができる。


 もしかしたら、こんなもの印刷とは全く関係ない他の世界の話のように思っておられる向きがあるのではないだろうか。冗談じゃない。インターネットは印刷に関係ないどころか、まさに、未来の印刷そのものといえるのだ。文字、画像、音声、動画が自由に世界中から取り出せるわけだ。すくなくともインターネットが普及すれば、情報の伝達ということに関して旧来の印刷の役割はなくなったに等しい。逆にデジタル化した印刷業者にとってはインターネットはまさに隣にある。今印刷用に作っているデータはそのままインターネットのデータとなりうる。


 もちろん、これで、あしたっから、印刷が全部なくなるというようなおっちょこちょいは申しますまい。実際、インターネットが津々浦々まで普及するには、さまざまな問題もあるだろう。しかし、昨年来急激に各家庭に入り込みつつあるマルチメディアパソコンはそのままインターネットのプラットフォームになりうる性能を持っている。インターネットの重要性が増すことはもはや疑う余地がない。


 と考えて、私もインターネットに接続しようとやってみた。電子メイルぐらいなら、パソコン通信でもできるが、やはり画像も音声もリアルタイムに楽しめるwwwをやらなきゃインターネットの醍醐味は味わえない。実はインターネットは大学などでは、かなり前から普及していた。これが、一般にもさわがれだしたのは、前述のwwwの登場と、昨年あたりから、個人向けプロバイダという商売ができてきたことが大きい。これは、本来、大学とか大企業向けのインターネット回線を個人や中小企業にバラ売りするものだ。私もこの個人向けプロバイダを利用したわけだが、はっきり言って大変だった。まだ、ようやっと一般向けの市場ができはじめたばかりで、説明書や通信ソフトにも親切なのがない。接続料金も馬鹿高い。それにつないだとしても、パソコン通信に使うようなモデム経由では、遅くてしかたない。首相官邸につなげて、村山首相のご尊顔を拝し奉ろうにも、村山首相の顔の画像を受信するだけで、5・6分もかかる。


 もっとも、この状況は急激にかわりつつある。年初からプロバイダがごろごろできてきた。そしてお互いに値下げ合戦をやるものだから、ついに1ヶ月500円で使い放題というほとんど只同然のものまで出現している。通信ソフトは改良と値下げを繰り返し、いまやモデムを買えばおまけについてくるまでになった。今年の暮れにはコンピュータに標準添付されるようになるのは間違いないようだ。超高速モデムも今や20000円を切った。村山首相は30秒で登場する。実用まであと一歩だ。今インターネットから目が離せない。



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