第15回 XPを捜せ|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

第15回 XPを捜せ

 Windows XPにかわるOSとしてVistaが登場して一年。普及は進んでいるのだろうか。こと当社に関して言えばVistaマシンは全台数の2%にも満たない。その2%も実験用とか、Vista入稿時の変換用に導入しているだけで、まだ全体のシステムはXPで動いているというのが実際のところだ。


 印刷会社にとってOSの変更は鬼門である。通常のオフィス用途に比べて印刷用のシステムはハードやOSに依存する場合が多く、OSを変更するだけで今まで動いていたソフトが動かなくなったり、文字が化けたりする。これでは、OSのバージョンがあがったからといって、おいそれと変更するわけにはいかない。


 それに言いたくはないが、Vistaというのはなんであんなに使いにくいのだろう。自宅の個人用パソコンを早くにVistaに変更しているのでそう思うのだが、どうにもいらぬトラブルが多すぎる。使い方に慣れていないということは割り引いて考えても、すんなりと動いてくれない。特にセキュリティ面があまりに煩雑である。いちいち、オンラインソフトをたちあげるだけで「危険性があります」と表示されても対応のしようがないではないか。安全性を高めるということが、Vistaの最高のパフォーマンスというのはわかっているし、セキュリティの重要性は納得しようとは思うのだが、やはり使いにくいという印象はぬぐえない。セキュリテイと使いやすさは両立しえないものなのだろうか。


 だがVistaを嫌ってばかりもいられない。新規にパソコンを買うとなると買い換えるのにVistaしか選べなくなりつつあるのだ。コンピュータはどうしても経年劣化していく。大事に使っても5年もすると原因はさまざまだがつぶれていく。会社に100台パソコンがあって、平均5年使うとすると、毎年20台はつぶれて買い換える必要があることになる。今後、つぶれて買い換えるときはVistaということになる。5年もすれば全台Vistaに置き換わる。


 そこまでわかっていて、社員は圧倒的にXPが欲しいという。XPで今それほど困ってもいないのだ。Vistaには画期的新機能があると言われてきたが実感しにくい。Vistaの目玉といわれたWindowが次々にくりだすフリップ3Dなんて使っている人を見たことがないし、最近では宣伝もしていない。ソフトの対応も遅すぎる。メジャーなソフトはVista対応が進んでいるにしても、役所の電子入札ソフトなどの現実に重要なソフトがVistaに対応していなかったりしていると、Vistaパソコンにかえるわけにもいかない。


 もっとも、Vista化がすすまない最大の原因はVistaそのものに起因するのではなく、最初の一台目のVista使いになりたくないという社員の無言の意志だろう。新ソフトでも新OSでも、最初の一台目の使用者にはならないというのは、日常的にコンピュータをつかった仕事をする者にとっての処世術であるようだ。誰かが使って充分にトラブルを経験して、それから自分も新ソフトや新OSを入れたいということだ。二台目以降の使用者ならば、先人のトラブルを充分に聞かせてもらえるので、安全だし、よしんばトラブルがおこっても最初の一台目のときのように、ソフト会社のサポートに連絡したり、電子掲示板に書き込んだりして情報をえなくても、隣にすわっている一台目で苦労した同僚に聞けばいい。たとえそういう苦労があるにしても、社員には最初のVista 1人目になろうという積極性が欲しいとは思うのだが、最初は積極的だったそういう連中にもあまりに苦労をかけすぎたな。


 かくてXP大捜索作戦が開始されるが、巷から新品のXPパソコンはどんどん消えている。あっても意外に高かったりする。未来を考えるとXPとばかりもいっておられない。マイクロソフトの術中にはまっているような気もするが、そろそろVista完全移行への決断の時期かなとも思う。全台交換には数年かかるだろうが、いずれは実行せねばならないことだ。と思いつつ、現場に行ってみるとあいかわらず「新品XPを捜せ」の大号令である。



ページの先頭へ