第78回 我が愛しのノートパソコン|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

第78回 我が愛しのノートパソコン

 新しいノートパソコンを買いました。コンピュータの性能向上はどこまで続くんでしょうねえ。B5の筐体に、ハードディスクが20GB、メインメモリが128MB、画面はXGA。 ため息です。去年買ってあまりの進歩の速さにに呆然としてしまった最高性能のデスクトップ機種(2000年9月号)に、もうノートパソコンが追いついちゃっているじゃないですか。これで電池が5時間もつし、重量も、1.3キロしかない。これだけのスペックがあったら、DTPソフトだって、サクサク動く。大型計算機で、ごりごりコードを書いていた電算写植の時代ははるか遠い彼方に去っていきましたねえ。


 それと、今回のノートには、PHSのカードをはじめっからとりつけました。めざすはフルスペックの無線インターネット接続。単なるインターネット接続なら、今までだって携帯電話とノートパソコンをつないでできたわけだし、先月も書いたように、i-modeを使えば、携帯電話だけでも接続できてしまうのですが、PHSカードだと、感覚が全然違いますね。モデム経由よりアクセスが速いのはもちろんなんだけれど、わざわざ、インターネットに接続するぞと身構えることなく、使いたいとき自然にインターネットにつながっているという感じなのですよ。デスクトップと同じ環境がどこにでも持ち歩ける時代がついにやってきました。


 出張の時には絶大な威力ですねえ。PHSだったら、地下街でも使えてしまう。インターネットを使うには地下街では使えないと書いた1ケ月前の前言取り消し!いまさらながら、この世界の流転のはげしさを思い知らされます。


 東京駅地下の待ち合わせ名所「銀の鈴」の前、本当にラップトップ(膝の上)で、電子メイルのチェックができてしまいました。当然、インターネットにフルアクセスですから、ニュースだって読めてしまうし、インターネットのバーチャルモールでお買い物もできちゃいました。テレビのコマーシャルじゃないですけれど、株式売買だってできちゃうでしょうね。


 思えば、インターネットに接続するのに、電話線とモジュラージャックを捜して、街中をさまよった時代が長かったですね。街角のグレー電話に、モジュラーをつっこんで通信していたら、うしろで待っていたご婦人に「すみません。私、電話をつかいたいんですけれど」と不審な目で見られたこともありました。業界の親睦旅行で温泉旅館に泊まったときも、蒲団の間から室内電話にモジュラーケーブルをひっぱって、メイルを読んでいたら、珍しがられましたなあ。懐かしい思い出です。


 というわけで、最愛のノートパソコン君をどこにも連れて歩いています。


 インターネットにどこにでもつながるって言うのは、膨大な百科事典と年鑑を持って歩いているのにも等しいわけです。先日も、業界の会合で、今話題の「ASPって何」という話になったとき、席上から、持ち合わせたノートパソコンでインターネットに問い合わせ、すぐに答えをとってきました。さすがに、年配の業界人さんからは驚きの声が挙がりました。


 まあ、これは一種のパフォーマンス。印刷屋の会合でわざわざこれをやるところに意味があったわけです。2005計画じゃないですけれど、印刷屋というのが、今やメディア革命の中で崖っぷちにたたされているのが、よくわかっていただけたでしょうか。


 確かに、蒲団からモジュラーケーブルひっぱっていた頃は、好奇の対象でしかなかったんです。まあ、そんなことを誰もがやるとは思われなかったからでしょう。いわば別世界の話だったんですね。でも、カードを内蔵してまさしくノートになったパソコン=インターネット端末は、いよいよ印刷業界の全ての人々を震撼させるでしょう。いや、震撼していただかないと困るんです。本当に本当に大変なことなんだから。



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