第138回 子供のLAN工事|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

第138回 子供のLAN工事

 わたしどもの息子は物心ついたときには家にインターネットがあった最初の世代である。誕生以来このコラムにも何度か登場してもらった。彼が中学生になった。感無量である。


 彼の部屋には小学生時代からパソコンがあった。ただし私のお古である。お古とはいっても、数年前、私が金をかけたパソコンのことだから、スペックは今になってもそれほど見劣りはしない。ゲームをやるには充分だし、ワープロソフトもはいっている。小学生にはこれ以上何が必要かというレベルではあった。


 だが、彼はこれを使わなかった。最初の頃こそ、パッケージゲームを手にいれてきてはインストールしてゲームに興じていたが、いつのまにか使わなくなった。コンピュータに興味がなくなったわけではない。居間のコンピュータばかりをつかいたがるのだ。この居間のコンピュータも私のお古(実際、私は、よくパソコンを買い換えるものだから、お古が家にはあふれかえっている)で、スペックはたいしてかわらない。むしろ子供部屋の方がスペックが高いかったりする。その上、居間のコンピュータと違って占有できるわけだから、その方がいいはずなのだ。居間には家族が集うから、子供が一緒にいたいのだろうかと思っていたがそうでもないようだ。


 インターネットなのだった。居間のコンピュータは LAN ケープルにつながっており、光ファイバでインターネットが利用できる。子供部屋はそうではない。その差が決定的なのだった。インターネットがあれば、ゲームも無限に手にはいる。かんたんなシューティングゲームから大規模なネットゲームまで、ネット上ではただで提供されている。パッケージゲームはあきたら終わりだが、ネットならあきてもすぐに別のゲームが手に入れられる。もちろんウエブの便利さは小学生にもわかる。宿題の調べ学習で、百科事典をひくよりはネットの方が早いのは先刻ご存じだ。電子メイルやブログは小学生にとってももはや必需品。インターネットの魅力はあまりに大きい。


 だから、中学の入学祝いに何が欲しいといったら「パソコンとLAN 」と明快だった。パソコンはお古ではなく自分でスペックを決めたいらしい。ネット通販で仕様を決定して購入してやった。ソフトはほとんどいらないので、費用的にはたいしたことはない。すくなくとも昔のパソコンの価格に比べれば只みたいなものだ。問題はLANの方だ、ルーターのある私の書斎から、子供部屋までLANを貼る工事をしなくてはならない。電話工事屋にたのむと、パソコンより高い工事費がかかる。で、20mのLANケーブルを買って、渡した。「もう中学生なんだから自分でやりなさい。パパも手伝うから」


 春休みの一日、子供と一緒にLAN工事するのは楽しかった。壁に穴をあけて塩ビのパイプを通し、廊下の壁にLANケーブルを貼る。穴はいびつで仕上げは汚くなったし、LANケーブルはモールすらしていないので、垂れ下がっている。いささか見栄えは悪いが、とにもかくにもLANである。つないで、自分の部屋からインターネットにつながったときの息子の嬉しそうな顔。コンピュータを通じた親子のふれあいにこういう形態もあるなあ。これはみなさん是非おすすめです。


 さあ、子供はそれからコンピュータにはりつく毎日が続いている。インターネットはとにかくおもしろいらしい。しかしこれはこれで心配。ちょっとは勉強もしてもらわないといけない。外で運動もした方がいい。なにより、変なサイトにつかまりはしないか、掲示板に誹謗中傷をかきみんだりしないか・・。コンピュータリテラシー教育は学校でも塾でもやってくれないし、とりあえず、子供部屋に監視に行くしかないけれど、早速いやがられていたりする。あたりまえか。中学生だものな。



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