第41回 LANはすごい|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

第41回 LANはすごい

 元々、うちの社では組み版系のMACやUNIXはLANでつないであった。組み版データや画像データをオンラインでやりとりして便利だったらしい。


 らしいというのは、経営者みずからはそのレベルまで使わなかったからだ。ところが、半年前にこうした組み版系のLANと事務系のWINDOWSをつなげた。こりゃもう便利、便利。


 この便利さをどう表現したらよいのだろう。おおげさにいえば、机の前のパソコンが会社のすべてとつながっている感じがする。WINDOWSサーバーを使った印刷の総合工程管理システムを使いだしたということもあるのだが、知りたいことがすぐわかる。どの仕事が今どこまで進んでいるか、この仕事は赤字か黒字か、WINDOWSDTPとMACDTPの能率の違いまで、マウスひとつで調べられる。


 一番、便利だと思ったのは私が個人でためたデータがどこからでも参照できることだ。たとえば、私はスケジュールや電話番号もすべてパソコンに載せて管理しているが、LANをひく以前は、自分のパソコンまで戻らないと、スケジュールや電話番号がわからなかった。これは意外に不便なのだ。若旦那たるもの会社中あちこちに出没しなければならない。総務で経理を見、営業で入札の準備をし、現場で新しい仕事の導入計画を練らねばならない。そこにクライアントから急ぎの電話がかかってきたとする。自分のスケジュールは机の上のパソコンにしかないから、LAN以前は、自分の机まで延々もどらざるを得なかった。クライアントとの話がすんだら、また元の場所へ急いで戻る。これがめんどくさい。ところが、LANだと手近なパソコンから自分のファイルを見ればいい。なにげないことのようだが、実際に息をきらせて自分の机まで戻ってパソコンをたたくという経験をしてみればその便利さがわかると思う。


 もちろん、組み版データもサーバーを通じてMAC WIN UNIXとわたっていく。フロッピーで入稿したデータは、組み版データ用に変換されて、組み版システムへとLANを流れていく。そういえば、フロッピーというものをほとんど使わなくなった。ついこの間までは、ワークフロッピーと称するものが会社中を行き来していた。ワークフロッピーが足らない足らないといつも騒いでいたものだが、いつのまにか溜まり放題だ。


 社内電子メールも結構行き交っている。こんなちいさな会社で社内電子メールというのも変だと思っていたのだが、これが意外に使える。以前はメモ用紙に書いて営業の机の上においておいたような連絡事項(「誰々さんからお電話がありました」という類)に電子メールが使われている。遠くの席の社員までメモを貼りつけにいくぐらいなら、メールを送っているのである。それだけではない。私のところへも、面と向かっては話しにくいような相談事が電子メールでよせられるようになってきた。文書にするといちいち堅苦しいが、電子メールだと気軽にだせるらしい。


 こうなってくると、社外からでもつかいたくなる。LANによるスケジューリングシステム最大の欠点は社外ではつかえないことだ。外出先で次の面会日をきめるときなど困ってしまう。こういうときは(電子)手帳の方が便利だと思えてしまう。もしインターネットから社内のデータにアクセスという方法がとれれば一番だし、技術的にも可能だ。だが、これは今のところ、見送っている。これだけ社内に血管のようにはりめぐらされたLANにハッカーが進入でもしたら大変だからだ。この問題さえ解決つけば、地球規模の印刷屋だって誕生することになる。いやあ、時代は変わりました。



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