印刷関連うんちく情報|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷


初心者でもわかる一般的な印刷用語からマニアックな印刷情報まで

畳の「一畳」は何センチ×何センチなの?絵画に使う「号」というのは何を基準にしている?など、
こういった日常生活における基本的な情報はなかなか調べにくいものです。
そのような今日から使える基本情報をご紹介します。

印刷物の大きさ

A4やB5なら、ともかく、四六判や新書判などのサイズは意外に知られていません。

規  格大きさ(mm)備   考
A1 A1594×841
A2 A2420×594ポスター
A3 A3297×420大きめのコピー用紙
A4 A4210×297一般のコピー用紙
A5 A5148×210文芸春秋サイズ
A6 A6105×148文庫
B1 B1728×1030
B2 B2515×728ポスター
B3 B3364×515地下鉄の中吊り広告
B4 B4257×364半紙に近い
B5 B5182×257週刊朝日などのサイズ
B6 B6128×182単行本に多い
国際判(レター)216×2808.5×11インチ  レターサイズ
リーガル リ-ガル216×3568.5×14インチ  リーガルサイズ
疑似国際判210×280A判の紙でとれる。規定サイズではないがよく使われる。
菊判152×218大きめの単行本 A5よりやや大きい。
四六判127×188B6よりやや大きい。以前よく使われていた。
新書版103×182岩波新書、中公新書などの新書のサイズ。
三五判84×148
官製はがき100×148A6より横が5ミリ短い
A本判625×880印刷用紙サイズ
B本判765×1085印刷用紙サイズ
菊全判636×939印刷用紙サイズ
四六全判788×1091印刷用紙サイズ
ハトロン判900×1200印刷用紙サイズ
地券判591×758

●封筒サイズ●

規  格大きさ(mm)備   考
長3封筒120×235定型封筒の大きいサイズ
長4封筒90×205定型封筒でよく使われる
洋2114×162定型横型封筒
角0287×382
角1270×382
角2240×332A4の書類がはいる
角3216×272B5の書類がはいる
角4197×267
角5190×240
角6162×229
角7142×205

紙の厚み

 印刷に紙はつきものです。紙そのものについては、いろいろなサイトで紹介されていますが、ここでは基本情報である紙の厚さのはかり方について、ご紹介します。
 よく知られているように、紙の厚さはkgという重さであらわします。1000枚あると何kgになるかということで、紙の厚みを表現します。これで問題なのは、この1枚の大きさが規定されていないということなのです。ですから、同じ厚さでも、紙の大きさによってkgが違うことになります。これは本当に混乱する話で、何年も印刷会社で営業をしているような人でもよく間違えます。今ならマイクロメーターが発達していますから、本当に厚みではかって、表現すればいいと思うのですが、その昔、そんな便利なものがなかったころの厚み表現法をそのまま踏襲しているわけです。

 下の表は、同じ厚みの紙を大きさによってどう表現がかわるかを対象したものです。ただ、具体的な紙の厚みについては、紙の品質によっても差がでますので、あくまで目安です。


●連量対照表●

四六判 (kg)菊判 (kg)A判 (kg)B判 (kg)米坪 (g)上質厚さ (mm)アート紙厚さ (mm)
45.031.028.543.552.30.07
55.038.035.053.064.00.08
70.048.544.567.581.40.100.08
90.062.557.587.0104.70.130.09
110.076.570.5127.90.160.10
135.093.586.5157.00.180.13
158.0109.5101.0184.00.16
180.0124.5115.5209.50.19

 上質の四六判で45kgといわれている紙は、菊判31kgと言っている紙やA判で28.5kgと言っている紙と同じもので、厚さはだいたい0.07mmです。どういう大きさで切り取るかで表現が違うだけなのです(なんかもっと深い理由があるんでしょうか)。


ポイント

 活版時代の印刷では号という単位がよく使われ、写植時代は級という単位がよく使われました。号が尺貫法に基づく単位であり、級がメートル法に基づく単位であるのはよく知られています。ポイントは欧米の単位で、以前から欧文組み版では使われていましたし、活版の号数時代にも5号と6号の間を埋めるものとして9ポイントはよく使われていました。ポイントはDTP時代になって、印刷界での標準単位系になってきました。これはコンピュータがアメリカで発明され、アメリカで発達したことと関係しています。
 基本的にポイントはヤードポンド法に基づく物で、1/72inch が建前です。しかしinchという単位が、そもそも各国で統一基準がない上に、昔は活字の精密鋳造が困難であったため、同じポイント数でも大きさの違う物が流通していました。現在ではフランス系のDidot point: 1point=0.3759mm と、英米系のAmerican Point(Pica Point): 1point=0.3514mmが規格化されており、日本のJIS規格では後者を1 Pointとしています。  しかし、ここで2.54センチを1inchとするJISで計算すると、0.3514mmは実は1/72inchではなく、1/72.27inchという中途半端な値であることがわかります。これは上述のように1inchがあいまいであったのと鋳造技術が未熟なまま一般化したためです。
 DTP時代になって、この中途半端なポイントが使いにくく、正確に1/72を1Pointとすることが行われるようになりました。 これをBig point (1Point=0.3528mm) といっています。Big PointはTeXで使われることがあります。


√2と黄金比

 みなさんが普段なにげなく使っている紙の縦横の比率はごぞんじですか?  たとえば、A4なら210mm×297mm ですから、1.4142・・・・、B5なら182mm×257mmで、1.4120・・・・です。1.41まで同じ事に気づかれたでしょう。これはJIS規格のA判の紙、B判の紙ではどんな大きさでも一緒です。
 ちなみに、JIS規格では、縦横比が√2で、面積が1平方メートルの長方形をA0とおき、それを半分に切ったものをA1とし、それをさらに半分にしたものをA2という風に半分づつ小さい紙なのはご存知の通り。半分ずつ小さくしても縦横比は常に1:√2になります(証明は簡単にできます。やってみて下さい)。A4判は、従って面積は1/16㎡ということになり、625cm2となります。これを1:1.413の比率で、縦横に分解すると、210.3mm×297.1mmとなり最初にあげた数字が近似値であることがわかります。
  √2はいわば利便性にもとづいた数値で、印刷のさまざまな局面でお目にかかることになりますが、もうひとつ、「美」をあらわすという数値があります。それが黄金比です。黄金比はギリシャの昔から知られていたともいわれ、美しいものを表現する比率です。数学の祖、ユークリッドがその性質をすでに2000年も昔に研究しています。これは線分、ABの中にPをおいた場合、AP:PB=AB:APとなる点と定義されています。簡単な方程式からこれをとくと1:(1+√5)/2という数値をえることができます。(1+√5)/2は小数に置き換えると1.618・・・・・です。長方形にすると、√2よりやや横長である長方形がえられます。
 黄金比は古今東西、ありとあらゆる美術作品に登場します。これがなぜ、人間にとって美しく感じられるかは諸説ありますが、もっとも有力なのは、それが健康に育った生物がなす比率だからなのではないかということです。

例:巻貝

この貝の写真を見てみましょう。実は、この貝は、一回転するごとに黄金比づつおおきくなっていくのです。詳しいことは省きますが、最適な条件が与えられて、一定の割合で確実に成長すると、このかたになることが、生物学的にも数学的にも証明されています。いわば健康の象徴でもあります。よくいわれることですが、身長に対してへその位置が、黄金分割にくることが知られています。


 組み版で体裁にまよった時は、まず黄金比を思い浮かべます。有名なのは、判面です。紙は上にも述べたように√2長方形ですが、この中にさらに√2長方形で判面を置くと非常に見にくいことがしられています。これは、√2長方形そのものが人間の目にとってはみやすいものではないからとか、一種の目の錯覚がおこるからといわれています。ですから、この場合、黄金長方形をおくと安定することが知られています。たとえば、A4は625cm2ですから、この判面面積を70%ととると、437cm2が判面となります。これを√2長方形でおくと、175×248mmの判面となりますが、実はこれでは、横が窮屈な感じがします。これを同じ判面面積で黄金長方形とすると、165×265mmとなり、これがほぼ現在、なにげなく伝承してきている判面に近いのです。


国際判の謎

 国際判と言われる判型があります。横216ミリ、縦280ミリ。A4判の横210ミリ、縦297ミリに比べて、横がやや長く、縦がやや短いのです。A4判はれっきとしたJIS規格で、日本では公式文書はA4判が使われます。それに対して国際判はあくまでA4変形で、規格に則った物ではありません。なのに非常によく使われています。なぜでしょう?

 一番確かな理由は、これが英米で使われるサイズだからです。実はレターサイズといい、英米で便せんにつかわれるサイズなのです。横8.5インチ、縦11インチ。なんとヤードポンド法にもとづくものなのです。A4はじめJIS規格の紙はこの前の項で説明しましたように縦横の比率が1:√2ですが、国際判にはそんな合理的な根拠はありません。それでも、昔から使い続けられてきたという理由でこの変形判が使い続けられているのです。日本の雑誌がこのヤードポンド法のサイズに従う理由はないのですが、海外の一流紙がほとんど国際判(レター)のため、このサイズを使っている場合が多いのです。
 でも中西印刷ではこの風潮にささやかな抵抗を続けています。横210ミリ、縦280ミリという中西国際判です。正国際判より横が6ミリ短い中西国際判は、A判の紙を使って上下を縮めるだけで作ることができます。これだと、書棚に並べたとき、国際判と同じ高さになりますが、実は横はA4判というわけです。最近は国際判で受注しても中西国際で作ることも多いです。もちろんお客様の了解の元。


欧文ジャスティフィケーション


●単純ラグ組●

単純ラグ組


 欧文は基本的に行をまたいでは単語を割らないことになっています。従って、普通に組んでいくと左の例のように行末が揃いません。これを単純ラグ組といい、最近ではデザイン的な観点からわざと使われる場合もありますが基本的には行末をそろえることが普通です。



●レタースペース組●

レタースペース組


 行末のそろえ方には色々ありますが、まず、左のようなレタースペース(letter space)という技法があります。字間を均等に分けてて、行末をそろえるようにするもので、日本語専用機によく見られます。日本語組版では、行末そろえが必要な時には、字間を均等に割るということが一般的に行われますので、その機能を欧文組版に拡張しただけの機械だとおこりがちなのです。しかしこれは欧文組としては非常にみっともないものです。



●ワードスペース組●

ワードスペース組


 欧文では単語のまとまりを重視しますので、単語同士の字間を狭め、単語間のスペースで1行の長さを調整するワードスペース(word space)が広く使われてきました。これは、活版組版の際には、字間をいじらず、単語間のスペースだけを調整すればよいので、実際的でもあり、中西印刷の基本はこちらです。ただ、これでは、単語の配置によっては単語間が拡がりすぎるという欠点があります。



●ハイフォネーション併用●

ハイフォネーション併用


 一番下の組み方を見てください。基本的には併用型DTP組と同じなのですが、traditionalという単語他3ヶ所でハイフォネーションがされています。これだけで、ずいぶん綺麗な組にかわりました。ただしハイフォネーションが連続することはあまり好ましいこととはされていません。


線画と階調画あるいは図と写真

 最近、デジカメの普及にしたがって画像データ入稿が増えてきました。今まで印画紙やフィルムで入稿した画像を印刷会社でよみとっていた手間がまったく省けますので、工程上は大きなメリットがあります。ただトラブルが多いのも事実です。画像はフォーマットの形式も多彩ですし、そもそも解像度がどれぐらいであればいいか、なかなか普通の方にはわからないからです。

 一応当社では、どういうデータで入稿するかを問われたとき、

線画は 1200dpi モノクロ2値 画像フォーマットはepsかtiff
階調画は 300dpi 階調データ 画像フォーマットは epsかtiff もしくはjpeg



※dpi (dot per inch…1インチあたりに何ドット打っているかで解像度の指標です)
  eps tif jpeg はそれぞれ画像フォーマットの名称

という風に答えることにしています。

 一番、誤解があるのが、線画と階調画の区別です。これはデジタルデータとして、その後の扱いも出力様態もまったく違います。最初にこれを間違えるとあとが大混乱に陥ります。線画は、文字、グラフ、製図など、文字通り、線で書かれた画のことです。階調画とは写真や絵など、濃い薄いという階調のある画のことです。

●線画●
実際の画をみてください。

線画

これが線画です。拡大してみるとよくわかりますが、線画はシャープに黒と白の四角いドットだけから構成され、灰色の部分がありません。この画が黒と白の2つの価のみでできているということで、「モノクロ2値」といいます。最初にスキャンする時やグラフ作成ソフトで出力する時にあらかじめ「モノクロ2値」と指定しておく必要があります。機械やソフトによっては「モノクロ2値」という言葉が使われず、「線画モード」とか「文字読み取りモード」あるいは「OCR用」などとなっている場合があります。
 この例からわかるように、このモードでとるにはとてつもなく高い解像度が必要です。解像度が高くないと、この図ほど極端でなくても、ギザギザがでてしまいます。だからといって、無限に高ければいいものではありません。最終出力の解像度より高い解像度でとっても意味がないのです。そこで、実用的な価、1200dpiという価を推奨しています。600dpiでもそれほど支障はありません。ここでいう解像度は原寸です。縮小する場合は、もっと低くてもかまわないことになります。たとえば、1/2縮小だと、600dpiでも最終画像が1200dpiあることになります。


●階調画●
次は階調画です。

階調画

拡大図をみていだくとわかるように、それぞれのドットに色の濃い薄いがあります。これが「階調」です。デジタル画像とはまさに、このバラバラに分けた格子のあつまりのことです。「カラーモード」「256階調」「グレースケール」などと機械やソフトによって色々に表現している場合があります。このモードではドットそのものにさらに「濃い・薄い」という情報をもっているので解像度は高くする必要がありません。だいたい原寸で300dpiで充分なのです。そして同じ解像度の場合、「モノクロ2値」データより「階調画」の方がそれぞれのドットに階調情報を持っている分、データ量ははるかに大きいのです。


●結語●

 それでは、1200dpi階調画でなにもかもとってしまえば間違いがないのではないかとお考えになるかもしれません。ですが、これは極端にデータ量が大きくなってしまいます。300dpiでよいものを1200dpiでとると、データ量は面積比になりますから16倍にもなってしまいます。これではファイルひとつ開くのにも膨大な時間がかかってしまいますし、コンピュータフリーズの原因ともなってしまいます。必要以上に大きな解像度の写真を送られるのはおやめください。線画は逆に300dpiモノクロ2値ではデータ量は極めて小さいですが、当然あらすぎて使い物になりません。
 ちなみにデジカメ画像を、最終的によこ10センチ≒4インチ、たて7.5センチ≒3インチ程度で印刷したいのならば、4inch*300dpi=1200pixel 3inch*300dpi=900pixel程度あれば充分なことになります。1200×900pixel=1080000pixelですから、いわゆる130万画素のメガピクセル機で充分なことになります。300万画素、400万画素というような高機能機でとる必要は必ずしもありません。むしろ色再現性のような画素数では捉えきれないところに性能の差が出るとお考えください。



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