オンラインジャーナルの現在|学会誌・学術印刷全般・学会業務受託など、文化学術の発展に貢献する中西印刷

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オンラインジャーナルとは

オンラインジャーナルは、その名の通り、雑誌の内容すべてをインターネット上で公開し、扱いやすい検索機能などを付加するものです。印刷の工程がないために紙の雑誌よりも投稿から掲載までが速い上に、ハイパーリンクで自由に必要な文献検索ができるため、急速に普及しています。特に、英語圏での取り組みが早く、現在では欧米の有力な学会誌はほとんどインターネット上で公開されるようになっています。
今後、インターネットのハイパーリンクの網の中に論文が掲載されていない、つまりはオンラインジャーナル化されていないと、その論文は発表されたこと自体がどこからも知られず、実質的に発表されていないのと同じということになる(If it is not on the net, it does not exist.)とも言われています。最も進んだオンラインジャーナルはハイワイヤー(http://highwire.stanford.edu/)などで見ることができます。
また、オンラインジャーナルとは直接関係ありませんが、電子化をすすめるにあたって、査読をインターネットを通じて行う電子査読、編集をインターネットを通じておこなう電子編集なども、広範に行われるようになっています

当社の方向性

中西印刷は、未来の印刷業を考える上で、オンラインジャーナル化は必然と考えています。特に、中西印刷の得意とする学術雑誌はもっともオンラインジャーナル化に適した分野であり、積極的に取り組んできました。実際に、日本のJ-STAGEへの掲載をはじめ、1999年のOxford University Pressとの提携によるHighWireへの日本の学術雑誌掲載、最近では米国National Library of Medicineの運用するPMCへのオンラインジャーナルデータ直接提供をおこなっています。
PMCへはActa HistChemica et Cytochemica誌とJournal of Clinical Biochemistry誌の2誌を皮切りに、続々とオンラインジャーナルコンテンツを日本から発信しています。
J-STAGEに関しては設立当初から関わり、50余誌を中西印刷から送り出しており、J-STAGE仕様のオンラインジャーナル製作でも日本最大級の実績を有しております。また、機関リポジトリをはじめ、さまざまな公的なサーバーへのアップロードについても、あらゆる対応をいたします。
当社は日本でもっともオンラインジャーナルに精通した会社を標榜しており、どうぞご安心の上、中西印刷にオンラインジャーナル化をお申し付けください。なお、海外出版社との対応についても経験を積んでおりますので、なんなりとご相談ください。

オンラインジャーナルの種類と形態

オンラインジャーナルサイトの種類

オンラインジャーナルサイトにも発表形態によっても、さまざまな種類があります。

オリジナルデータベース

基本的には、ハイワイヤーのように、フルテキストのオリジナルデータベースをもち、それを目次ページとともに、公開するかたちのものが狭義のオンラインジャーナルといえます。出版社系のものが多く、ElsevierのScience Direct、SplingerのLinkなどが代表的です。日本では政府系のJ-Stageがあります。

オンラインジャーナルポータルサイト

自分のところでは、フルテキストのデータベースをもたず、検索の機能だけをもっているものも多くあります。これは検索機能だけを提供し、検索した後は、元になる論文にリンクします。もっとも著名なのが、PubMedです。これら検索サイトは無条件にリンクするのではなく、一定の基準をもったものだけにリンクすることで、それぞれに権威を持つようになってきています。

純粋インターネットジャーナル

オンラインジャーナルは元来、元になる紙の本があり、それをオンラインでも公開するというかたちが基本でした。ところが現在では純粋にインターネット上だけで成立し、紙の本を発行しないというものが増えてきています。ただし、プレプリントサーバー(arXivが有名。投稿すればそのまま載る)と違って、査読を行うことで、一定の水準を保とうとしています。著名なものにBioMed Centralがあります。

バーチャルジャーナル

複数のオンラインジャーナルからあるテーマの論文を集め、あたかもそのテーマに沿ったひとつの雑誌のように見せるものです。たとえば電子顕微鏡を使った生物学の論文も、生物学の観点から見るのと、電子顕微鏡の利用法という観点から見るのではまったく違います。たとえば、電子顕微鏡の使用法なら使用法でいろんな生物学関係の雑誌から横断的にその関係の論文をあつめ、別のオンラインジャーナルとして編集しなおすのです。もちろんオリジナルの発表は発表としてそのまま残ります。

オンラインジャーナルの形態

ひとくちに全文のインターネット掲載といっても、いろいろな形態がありえます。最近の進んだオンラインジャーナルではPDFとHTMLを併用する例が多いようです。

画像公開

もっとも古くから実行されていたものに、本1冊まるごとを1ページづつスキャナで読み取り、全ページを画像の形で保存するという方法があります。この方法は本ができてさえいれば、すぐに実行できますが、単語検索ができなかったり、画像のため伝送に時間がかかったりして、他の方法が普及した今ではあまり意味がなくなっています。現在では過去論文のアーカイブに使用されるのみで、それもPDFファイル形式で提供されるようになってきています。長くこの方式を採用してきた国立情報学研究所のNII-ELSも2016年に新規掲載を中止しました。

PDF

印刷のための出力データを電子的に保存するPDF(Portable Document Format)を使用する方法です。これは上述のように誌面をスキャナで読み取る方法もありますが、印刷の仕上がり状態そのままを電子的に変換してファイルに保存公開することが一般的です。読者は、Acrobat readerなどを使ってそれを読むことになります。誌面そのままを電子データにしますので、製作費も安く、オンラインジャーナルというとまずこの段階からスタートされる例が多いようです。ただ、この技法も紙の本の誌面体裁そのままが画面に表示されますので、プリントアウトはともかく画面上では読みやすくありませんし、検索などもそれほど自由にはできません。あくまでも紙の本の発行を前提とした技法で、紙の雑誌を発行しない純粋インターネットジャーナルではあまり意味がありません。

HTML

最もオンラインジャーナルとして有効なのは、インターネット専用言語であるHTMLで書かれ、誌面も画面用に特化したHTML技法です。紙の誌面とはまったく独立して、画面で読みやすいように誌面を構成できますし、検索やリンクも自由で、特に引用文献リンクは便利なことこの上なく、オンラインジャーナルの究極形態はこのかたちといえます。反面、作成に非常な手間がかかり、費用もかさみます。紙の誌面とHTML版をいかに効率よく、ひとつのソースから作り出すかという技量が問われます。現在では、HTMLの親規格であるSGMLやその拡張版であるXMLを使って、紙版、電子版を同時に効率よく組版する汎用組版などがこころみられています。中西印刷は独自技法でXML汎用組版を行っています。

日本でのオンラインジャーナル

日本でも、特に英文誌は海外への発信という点からオンラインジャーナル化が焦眉の急となっています。Oxford University Press,Elsevierなどの海外出版社は、各学会の雑誌を自社の販売ルートにのせることなどを条件に自社開発のオンラインジャーナルシステムへの掲載を提案しています。海外のオンラインジャーナルは非常に進んだ物が多く魅力的なのですが、費用的にも負担が大きく、海外出版社との実際の提携にまでいたれるのは海外販売に実績のある大きな学会に限られるようです。また、日本からの情報発信を海外の会社に任せてしまったのでは日本からの情報発信能力が失われてしまうのではという危惧もあり、日本からの情報発信が見直されています。

J-STAGE

日本では学術雑誌を商業出版社が担うということがほとんどありませんので、公的な機関がそのかわりをするようになっています。旧科学技術庁系の外郭団体である、科学技術振興機構のJ-STAGE、旧文部省系の国立情報学研究所が作成するNii-ELSが代表的です。ただし、Nii-ELSは前述したように2016年をもって終了しました。この中でJ-STAGEは日本から発信するオンラインジャーナルの必要性に鑑み1998年からたちあがり、IT化の追い風をうけて予算が確実につき、年々、システムの拡充がはかられています。現在2584誌(2018年3月)を擁し、日本最大のオンラインジャーナル組織となっています。国際的な文献リンク組織であるCrossRefとの接続やアクセス統計の国際基準であるCOUNTにも対応するなど、国際的にも注目される存在となっています

ただ、今まではPDF中心で世界的に主流のHTML形式での収録がすくなく、海外のオンラインジャーナルには見劣りした面もいなめませんでした。このことが日本の英文誌の海外流出の原因ともなっているという批判もあり、2012年4月から本格的なHTML化による国際標準のものとしてJ-STAGE3がはじまりました。2017年11月にはサイト構成が大幅に見直されて、世界の主要にオンラインジャーナルにひけをとらないものになっています。世界初の和文オンラインジャーナルは中西印刷で作成しました。

民間のオンラインジャーナル

民間のオンラインジャーナルも活発な動きを見せています。特に医学系に顕著で、明治以来、要約雑誌として著名だった「医学中央雑誌」は冊子体の発刊をやめ「医中誌WEB」として再スタートを切っています。その他民間ベンチャーであるメテオインターゲートの「メディカルオンライン」、医学系出版社の「メディカルファインダー」「医書ジェーピー」、学術情報サービスのサンメディアが提供する「ビアオンライン」など続々と名乗りをあげています。

オープンアクセスとは

オンラインジャーナルが進展するとともに、雑誌価格の問題がおこってきました。オンラインジャーナルは出版社が大学図書館などに有料で使用権を提供する形をとります。この場合オンラインですから、紙の本のように選択的にこの雑誌、あの雑誌と読めるようにするのではなく、いくつかの雑誌をパッケージにして売ることになります。大学としても特定の雑誌が読めなくなるのでは研究活動にさしさわりがでますから、この雑誌を含んだパッケージを必要のない雑誌と一緒に買わざるをえません。出版社にしても、紙の雑誌がなくなりつつある現状ではオンラインジャーナルで収益をあげようとしますからこのパッケージの価格は高くなりがちです。
これに対して、オープンアクセスという運動がおこってきました。研究費をだして研究させたのにその結果をみようとすると商業出版社から有料で学術雑誌やそのオンライン版を購入しなければならないのはおかしいという考え方が基本です。NIHプロポーザルが有名で2005年に「NIHからファンドを受けた研究は、半年以内に無料でPubMedCentralに載せなければならないことにする」と提案しました。この提案は最終的に「1年以内の掲載」ということで2008年度から実施されました。これ以外にも出版社の手をへないで無料でオンラインジャーナルを提供しようと言うオープンアクセスを標榜する雑誌が続出しています。BioMed Centralはその代表です。
オープンアクセスとすることで、読者はお金を必要とせず、自由に論文を閲覧する事ができるようになりますから、ひいては引用率の上昇などがみこめます。実際にオープンにする方が引用率があがるといった研究も出始めています。
ただし、いかにオンラインで安くなったとはいえ制作費は当然かかるわけで、オープンアクセスモデルでは論文発表者が制作費を負担することになります。つまり学術論文の制作費の担い手が、読者から筆者にかわったといえるでしょう。しかし、この筆者負担モデルではお金のだせる人しか発表できないという問題が生じてしまいます。助成金を活用したり、途上国からの発表は掲載費を安くするなどの対策もとられていますが、根本的な解決になりません。

機関リポジトリとは

機関リポジトリはオープンアクセスの受け皿として、発信を研究者の所属機関が行うというものです。つまり、研究費をだした機関がその研究成果の発表までも面倒をみるというものです。前述のPubMed Centralは機関リポジトリの代表でしょう。研究費をだす以上、その研究成果は、その機関の設置するサーバーから無料で読めるようにするというわけです。多くは、大学図書館がその大学の研究者の成果を無料で提供するかたちになっています。
一見すると、大学は図書館の購読費の支出と研究成果の発表と二重の負担を強いられるように見えますが、すべての大学が機関リポジトリをもつとしたらどうでしょう。すべての研究成果が、機関リポジトリで発表されるわけです。すると、購読費がまったくかからなくなることにおきづきになると思います。研究者はたいていどこかの機関に所属しているわけですから、その成果がすべて機関リポジトリで無料で公開され、それをお互いに参照しあうわけですから、購読費はいらなくなるのです。つまりは、購読にお金をだすのか、製作にお金をだすのかの違いであり、うまく機能すれば、全体としての学術情報流通コストは低くなるとも言われます。
実際には、編集や販売など出版社のノウハウは大きく、ことはそう単純ではありませんが、大学図書館では、インターネット時代の図書館の役割として機関リボジトリ活動を非常に重視しています。現在、国立大学図書館には紀要を中心とした機関リボジトリが設けられつつあります。今後は、商業出版社から発行された論文も掲載されるなどして充実が図られると思います。
中西印刷は各機関の機関リポジトリ作成のお手伝いもいたします

ハゲタカジャーナルにご注意を

ハゲタカジャーナル(Predatory Journal)は粗悪学術雑誌とも言われ、現在問題になっています。こうしたハゲタカジャーナルでは投稿料さえ支払えば論文がただちに掲載されます。これはオンラインジャーナルのオープンアクセスの進展とともにに生じた新ビジネスで、雑誌運営が購読料から投稿料支払いのモデルに移行したことにより発生しました。投稿料をもらえれば、充分商売としてなりたつわけです。もちろん、こうしたジャーナルでは編集などもいい加減ですし、査読雑誌を装っていても、実際には査読などされていないこともあります。オンラインではそれでももっともらしい学会サイトができあがってしまい、一見して見破るのはかなり難しいのです。Impact Factorが仰々しく掲げられている場合もありますが、よく読むと、Impact Factorもどきの指標で、いわゆる一般的に認められるClarivate Analyticsのものとはまったく関係がないものだったりします。
この手のジャーナルでは電子メイルなどで、盛んに論文投稿を勧誘しており、場合によっては編集委員になって欲しいとか、学会をやるのでKey Note Speachをお願いしたいということまで言ってきます。うっかりこの手の雑誌に投稿したり、編集委員になってしまうと、むしろ著者としての評判を落とすことにもなりかねません。これは問題だと、こうしたハゲタカジャーナルの一覧表が作られたこともありますが、当然名指しされた方は自分たちをハゲタカジャーナルとは認めないわけでトラブルになっています。PMCでは、こうしたハゲタカジャーナルを載せてしまうとハゲタカジャーナルに権威を与えてしまうことになりますので、最近は掲載の審査が慎重でさまざまな資料を要求するようになってきています。


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