2019.10.11 ニュースリリース

中西印刷最古の印刷物更新

京都府立歴彩館に、中西印刷の古資料が残っていることが2019年7月の調査で判明しています。このたび現存する中で、もっとも古いと思われていた明治10年の木版印刷物を更新する明治7年の印刷物が発見されました。この印刷物は古いだけでなく内容が非常に興味深いものとなっています。「萬國史畧(万国史略)」とあり、世界史の教科書と思われます。前文をのち日本初の本格的国語辞典「言海」を編纂することになる大槻文彦が書いています。
全ページ興味深いですが、たとえばこの挿絵、右から左に「リンコルン」と書いてあります。リンコルンはアメリカ大統領リンカーンと考えられ、南北戦争の記述でした。明治7年は西暦でいうと1874年で1865年に終わった南北戦争からそんなに年月がたっていません。当時とすればほとんど現代史でしょう。こうした最新の知識が明治7年の時点で学校で教えられていたこと自体驚きですが、それを中西印刷(の前身の中西松香堂)が印刷していたことは学術への貢献を社是とする中西印刷として誇りに思います。
これ以外にも世界地理の教科書「萬國地誌略」や小学生向けの絵本「画引小學讀本」などという中西印刷の印刷物が保存されていることがわかっています。下に明治9年の「画引小學讀本」を紹介します。これは小学生向けの副読本と考えられ、絵でいろいろなものを説明した事典的なものでしょう。中西印刷はこんなに古くから、学術と教育に貢献してきました。

萬國史畧」の南北戦争の項 リンコルンはリンカーンのことと考えられる。

「萬國史畧」奥付。製本発兌が当社創業者 「中西嘉助」となっている。発兌は印刷・発行のこと

「画引小学読本」の口絵 多色刷りで当時の子供たちの日常が描かれている
「画引小学読本」本文 絵で説明した事典のようなもの

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