2021.08.17 学術関連

インパクトファクター値の全体的上昇要因

2021年7月1日 2020年のインパクトファクター値が発表になりましたが、全般的に上昇しています。近年インパクトファクター値は増加傾向にありましたが、2020年値の上昇は著しいものでした。原因はさまざまにあるようですが、ひとつには、オンラインジャーナルの発表日付の参入基準の変更にあると考えられます。従来インパクトファクター算出基準は紙の発行日ベースでした。しかし、現在ではジャーナルの発行はオンラインが中心になっています。そこで出版日の基準を紙版からオンライン版に変更することになったようです。

ただ、オンライン版は早期公開など、しばしば紙版より公開日が早くなります。たとえば2019年に公開された論文で引用した雑誌の正式出版日は2021年でも2020年にオンライン早期公開で引用するということがおこりえます。従来の基準ではこの例は2020年インパクトファクターには含まれません。これが2020年発表版からこの場合でも2020年インパクトファクターに含まれることとなりました。しかし分母である発表論文数はすでに2019年2018年とも以前の版で確定していますので、動かせません。そこで分子は増大したのに、分母が同じということになり、インパクトファクターが増大します。

2020年発表(2021年インパクトファクター算出基準)以後は、発表論文数の基準自体をオンラインとしますので、この齟齬は2年かけて2022年インパクトファクターからは解消されることとなります。

インパクトファクター算定方法の遷移

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