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学会と税金というと、結びつかない方が多いかもしれません。しかし法人税法の定める収益事業を行う学会は、申告及び納税の義務があります。注意していただきたいのは、法人格をもたないいわゆる人格なき社団であっても、この申告及び納税の義務は変わらないことです。
もちろん、経理体制が整っていれば税額そのもの法人住民税をのぞき、あまり問題になることはありません。反対に、経理体制がしっかりしていないと、本来経費として控除できるはずのものが控除されずに、学会にとって不利益が生じてしまうケースもあります。これが納税されていないと、脱法行為ということになりかねません。この脱法状態がのちのち発覚しますと、税務署から追徴課税を請求される場合があります。額自体は少額であっても、学会としては不名誉なことですし、会長や理事長に余計なご負担が生じてしまいます。
では、具体的にどんな税金が課されるのでしょうか。以下に列挙します。
法人税は利益にかかる税金です。通常、収益事業を学会が行うことは多くありませんし、収益事業を行うとしても、非営利団体の学会では収入以上に支出がでるケースが多くあります。つまり、法に基づいた経理書類が作成してあれば、税額が発生しない場合や正しく納税額を計算することが可能です。ところが経理書類が整っていないと、課税されてしまう場合があります。まず経理体制を整えることがなにより重要です。
気をつけたいのは、それとは知らずに、収益事業を行ってしまう場合です。例えば、以下のようなものは収益事業とみなされる可能性が高くなります。
消費税は法人税と違い、たとえ事業が赤字であっても売り上げがある限り、納税する義務があります。ただし、基準年度の課税売り上げが年間1000万円以下であれば免税されますし、消費税は仕入れ控除ができますから、全体としての額が大きくても仕入額も大きければ消費税はあまり生じません。ただ気をつけたいのは仕入れ控除をするためには、仕入れ額などを経理の帳簿に記載していること、領収書などの信憑書類が保管されていることです。これがないと仕入額が証明できず、全額課税ということになってしまいかねません。結局ここも経理体制の問題となってきます。ことに社団法人の消費税に関しては特定収入の算定など、複雑な税務知識が必要です。素人判断は危険です。
法人住民税は、法人がそこにある限り納付しなければなりません。利益や売り上げには関係ありません。自治体によっては違いがありますが、年間7万円程度です。法人住民税は、法人税(国税)や消費税は税額が生じないという場合でも、それに関係なくかならず発生します。これは法人格を持つ持たないに関わりありません。ある意味、税金をおさめたことのない学会では、この法人住民税だけは常時脱法状態になっている可能性もあるということになります。
源泉所得税は給与支払事業者(学会)が受給者より源泉所得税を計算し、徴収する制度です。一度でも勤めた経験のある方でしたら、源泉所得税があるために、手取額が思った額より少なかったという経験をされていると思います。学会で、事務員等を雇用されている場合は常勤・非常勤にかかわらず、当然源泉徴収を行う必要があります。
事務員を雇用していなくても、学会の場合、源泉徴収しなければならない可能性が他にもあります。ひとつは、大会(発表会)などでの学生アルバイトの臨時雇用の給与。もうひとつは翻訳や講演の謝金です。学会賞などの賞金も謝金等に該当します。基本的に個人にお金を渡す場合はかならず源泉所得税の問題が生じると考えた方がよいでしょう。交通費も交通費として正当なものと認められる書類を具備しないと交通費という名を借りた謝金とみなされてしまう場合があります。
税額は謝金の場合、10.21%です。学生アルバイトは少額であれば実際に税額が生じることはありません(丙欄適用の場合、日額9300円未満であれば、税額は生じません)が、少額でも支払ったという記録はかならず必要です。
その他、税務問題はいろいろ複雑な問題が生じがちです。素人考えで大丈夫だと判断するということはきわめて危険です。また不安でもあります。実際にどのような帳簿を作成すればよいのか、どのように税金を納付すればいいのかなど、まずは学会業務に精通した税理士にご相談することをおすすめします。中西印刷では学会税務に経験ある税理士をご紹介させていただいております。税理士資格をもたない人が税務の代行をすることはできません。その意味でもこのサイトの記述はここまでです。